Skip to content

TectonicでLaTeX入門

追記 2021/1/5 bxjsarticleのオプションに直接日本語を使うことを指定することでよりわかりやすくできたので修正しました。

LaTeXとは

LaTeXとは論文や本を出版するときに使う文書処理システムです。テキストファイルを少しいじるだけで、次のような美しい書式で文章が書けてしまいます。

latex render

かなりきれいじゃないですか?論文や本の出版で使われているのも納得です。

描くのになれるまでは少し難しいですが、LaTeXを使いこなせるようになるとかっこいい論文や本、レポートなどもかけるようになってしまうので理系の大学生は勉強しておいて損はないと思います。Wordを使えないLinuxの民にも優しいです。Wordはもう使わなくていいでしょう。

今回はLaTeXの簡単な書き方と超簡単にコンパイルするソフトウェアTectonicを紹介します。

どう言う流れで書くの?

では、どのような手順でLaTeXの文章を書くのか流れを書いていきます。

  1. ドキュメントの設定
  2. 必要なパッケージをインポートする
  3. 表紙の設定
  4. 文章を書く
  5. PDFにコンパイルする

という手順で作っていきます。

早速書いてみたい

先程の例に出した写真のtexファイルを見てみましょう。このようになっています。(%で始まる行はコメント)

latex
% ドキュメントの設定
\documentclass[a4paper,11pt,xelatex,ja=standard]{bxjsarticle}

% ドキュメントの表紙の設定
\title{Hello \LaTeX}
\author{ダニエル}
\date{\today}

% ドキュメント開始
\begin{document}

% タイトルの表示
\maketitle

% 見出し
\section{\LaTeX のつかいかた}
% 小見出し
\subsection{ほげほげ}
\ref{eq:foobar}はfoobarの公式です。

% 数式
\begin{equation}
    \label{eq:foobar}
    foobar(x) = foo(x) + bar(x)
\end{equation}

\end{document}

このような感じになっています。 少し複雑なので噛み砕いて説明します。まず、ドキュメントの設定です。

latex
\documentclass[a4paper,11pt,xelatex,ja=standard]{bxjsarticle}

ここでは、bxjsarticleの形式に従うドキュメントであるということを書いています。オプションとしてA4サイズで11ptであることと、xelatexエンジンを使い、日本語を有効にするように書いています。

TIP

多くの日本のLaTeXファイルはjsarticleで書かれていますが、この後で説明するTectonicというソフトはxelatexを使いコンパイルする関係上jsarticleは使えません。そこで、bxjsarticleを使っていますが、ほとんど大差ないので気にしなくて大丈夫です。

次に表紙の設定です。タイトル、著者、日付を設定しています。

latex
\title{Hello \LaTeX}
\author{ダニエル}
\date{\today}

最後に実際のドキュメントを書いていきます。ドキュメントは次のようにbeginendで囲って書きます。

latex
\begin{document}
% ドキュメントの内容
\end{document}

表紙はdocumentの中で次のように書くことで作れます。

latex
\maketitle

見出しはsectionsubsectionsubsubsectionのように書くことでできます。endのようなものはありません。次の見出しまで続きます。

latex
\section{\LaTeX のつかいかた}
\subsection{ほげほげ}

普通のテキストdocumentのなかならどこに書いても大丈夫です。

latex
\ref{eq:foobar}はfoobarの公式です。

数式は山ほど書き方があり、amsmathパッケージなどを使うとより細かい数式の表現が使えるようになります。今回はかなり基礎的な数式を表示しています。数式はbeginendでくくります。

latex
\begin{equation}
    \label{eq:foobar}
    foobar(x) = foo(x) + bar(x)
\end{equation}

\labelというのは文章中で後から参照したいものにつけるもので、テキストの例のように\refと書くことで番号を引用できます。図や表でも似たことができます。

書けたから早速PDFにコンパイルだ!

では最後にコンパイルして終わりましょう!

と言いたいのですが、実はLaTeXのコンパイルは簡単ではありません。他のLaTeX入門を見ると、「TexLive(約2GB)をインストールして、その他パッケージをインストールして、日本語用のパッケージをインストールして...」のようになってしまい、時間もパソコンの容量も食ってしまい、とても大変です。クラウドを利用したLaTeX環境もありますが、正直ローカルで動作するのが一番わかりやすくていいです。

そこで今回紹介するのが「Tectonic」。このソフトを使うと簡単にLaTeXファイルをコンパイルしてくれます。

WARNING

今回紹介するTectonicですが、現時点では日本語には正式には対応していません。正確にはXeTeXで動いているため、日本語で動作するように作られたものではありません。日本語で正しくLaTeXをコンパイルするためにはpLaTeX等を利用する必要があります。今回の記事で紹介する方法で日本語が入ったドキュメントをコンパイルできますがなにか問題が起きた場合はXeTeX周りな可能性もあります。

Tectonicのインストール

MacOS

MacユーザーはHome brewをインストールしてから、

bash
$ brew install tectonic

Windows

WindowsユーザーはGithubからバイナリをダウンロードしてパスを通しておきましょう。 https://github.com/tectonic-typesetting/tectonic/releases

Linux

Linuxユーザーはバイナリをダウンロードしてもいいですし、ソースからコンパイルしてもいいですし、AURからインストールしてもいいですし、まあ公式サイトやGithubを見ればすぐインストールできるでしょう。

その他

TectonicはRustで作られているので、Cargoを使ってインストールすることもできます。Ubuntuの場合依存関係も含めると、次のようにインストールできました。

bash
$ sudo apt install build-essential pkg-config libssl-dev libicu-dev libgraphite2-dev libfreetype-dev libfontconfig-dev
$ cargo install tectonic

このページも参考にしてみてください。 https://tectonic-typesetting.github.io/en-US/install.html

Tectonicの使い方

先ほど作成したLaTeXファイルをsample.texという名前で保存したとしましょう。すると、次のコマンドでコンパイルできます。

bash
$ tectonic sample.tex
note: this is a BETA release; ask questions and report bugs at https://tectonic.newton.cx/
note: connecting to https://archive.org/services/purl/net/pkgwpub/tectonic-default
note: resolved to https://ttassets.z13.web.core.windows.net/tlextras-2020.0r0.tar
note: downloading index https://ttassets.z13.web.core.windows.net/tlextras-2020.0r0.tar.index.gz
note: downloading SHA256SUM
note: generating format "latex"
note: downloading tectonic-format-latex.tex
note: downloading xelatex.ini
note: downloading latex.ltx
note: downloading texsys.cfg
note: downloading fonttext.cfg
note: downloading fonttext.ltx
...

最初にコンパイルしたときは必要なパッケージのダウンロードが始まって、コンパイルは初回は数分ほどかかると思います。しかし、一度必要なパッケージがダウンロードされると2度目のコンパイルはダウンロードする必要がないので早く終わるはずです。

試しにコンパイルが終わった後もう一度コンパイルし直してみましょう。

bash
$ tectonic sample.tex
note: this is a BETA release; ask questions and report bugs at https://tectonic.newton.cx/
Running TeX ...
Rerunning TeX because "sample.aux" changed ...
Running xdvipdfmx ...
Writing `sample.pdf` (18.56 KiB)
Skipped writing 1 intermediate files (use --keep-intermediates to keep them)

とても早くなったことがわかると思います。

TIP

Tectonicはドキュメント内で必要なパッケージを見つけたとき、まずはローカルにキャッシュがないか探しに行き、もし見つからない場合はネットからダウンロードしてきています。そのため初回のコンパイルは遅くなってしまいますが、それ以降は必要なパッケージを増やしても増えた分だけダウンロードするだけなのでかなり早くコンパイルが終わります。

完成!

コンパイルされて完成したPDFファイルはsample.pdfという名前で同じディレクトリに保存されています。

まとめ

初めてLaTeXを使って見る人にとっては良い入門に、今までにLaTeXの環境を構築したことがある人がいればこのツールの良さが伝わってくれれば幸いです。LaTeXは書くのになれがいりますが、かけるようになると書式を意識することなく文章に集中するだけで勝手にきれいな書式に整形してくれるとても良いソフトだと思うのでぜひ使ってみてください。もし何か質問や要望があれば私のツイッターにでも送ってください。

profile picture
Pineapplehunter
農工大生のLinux好きの人です。